マングローブ植樹がCO₂削減につながる仕組み

気候変動への対応が世界的な課題となる中で、CO₂削減に向けたさまざまな取り組みが進められています。

再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化と並び、自然の力を活かした対策として注目されているのが、沿岸域に広がるマングローブ林の再生です。

マングローブ植樹は、CO₂の吸収・固定に加え、防災や生物多様性の保全といった複数の効果を同時にもたらします。

本記事では、マングローブ植樹がなぜCO₂削減につながるのか、その基本的な仕組みを整理します。

目次

なぜ今、マングローブ植樹が注目されているのか

気候変動対策として、世界各地でさまざまな取り組みが進められています。

その中で、近年とくに注目を集めているのがマングローブ植樹です。

マングローブは熱帯・亜熱帯の沿岸域に生育する植物群で、一般的な陸上森林とは異なる特徴を持っています。

単に「木を植える」という活動にとどまらず、CO₂削減、防災、生物多様性保全など、複数の効果を同時に生み出す点が評価されています。

①光合成によるCO₂吸収

マングローブ植樹がCO₂削減につながる最も基本的な仕組みは、他の植物と同様、光合成によるCO₂吸収です。

成長の過程で大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素として幹や枝、葉に固定します

この点においては、マングローブも一般的な森林と同じ役割を果たしています。

しかし、マングローブ植樹の価値は、この基本的な仕組みだけでは説明しきれません。

②地下に広がる根が生み出す高い炭素固定力

マングローブの大きな特徴の一つが、地下部の発達です。

潮の満ち引きの影響を受ける不安定な環境に適応するため、マングローブは複雑で広範囲に広がる根を持っています。

この根自体が炭素を蓄えるだけでなく、落葉や枯死した根が有機物として周囲の土壌に供給されることで、炭素固定の量がさらに増えていきます

地上部だけでなく地下部を含めて炭素を蓄積する点が、マングローブ林の大きな特徴です。

土壌に炭素を閉じ込めるマングローブ林の環境

マングローブ林が形成される汽水域の土壌は、酸素が少なく、分解が進みにくい環境です。

このため、落ち葉や有機物が分解されず、炭素を含んだまま長期間土壌中にとどまります

この土壌中の炭素貯留量は非常に大きく、マングローブ林全体の炭素固定量の多くを占めています。

この特徴から、マングローブ林は海洋・沿岸生態系による炭素固定を指す「ブルーカーボン」の代表的な存在とされています。

一般的な陸上森林との違い

マングローブ林は、一般的な陸上植物と比べて、単位面積あたりのカーボン固定量が大きいとされています。

これは、植物体に加えて土壌中に大量の炭素を蓄える構造を持っているためです。

陸上森林では主に幹や葉に炭素が蓄積されますが、マングローブ林ではそれに加えて、地中に長期間固定される炭素が大きな割合を占めます。

植樹による「吸収」だけでなく「放出防止」の効果

マングローブ植樹の重要な点は、新たにCO₂を吸収する効果だけではありません。

既存のマングローブ林が伐採や開発によって失われると、土壌中に蓄積されていた炭素が攪乱され、CO₂として大気中に放出される可能性があります。

劣化したマングローブ林を回復させ、森林として維持することは、将来的な炭素放出を防ぐという意味でもCO₂削減につながります。

マングローブ植樹に必要な前提条件

一方で、マングローブ植樹はどこでも同じ効果が得られるわけではありません。

潮汐の条件、土壌の性質、水の流れ、周辺の土地利用などを十分に考慮しなければ、苗木が定着せず、期待した炭素固定効果が得られない場合もあります。

また、植樹後の管理や、地域住民との協働がなければ、長期的な森林維持は困難です。

CO₂削減効果を生むためには、短期的な植樹イベントではなく、長期的な視点での取り組みが求められます

CO₂削減と地域課題を同時に考える取り組み

マングローブ植樹は、CO₂削減に加えて、防災、生物多様性保全、漁業資源の維持といった複数の効果を同時に生み出します。

そのため、気候変動対策を単独で考えるのではなく、地域社会の持続性と結びつけて進めることが重要です。

長期的な視点で取り組むCO₂削減策として

マングローブ植樹は、即効性のあるCO₂削減策ではありませんが、長期的に安定した効果が期待できる取り組みです。
自然の仕組みを活かしながら炭素を固定し、同時に人々の暮らしを支える。この点にこそ、マングローブ植樹が持つ本質的な価値があります。

おわりに

マングローブ植樹によるCO₂削減は、単に環境負荷を減らすための手段ではなく、地域の自然と暮らしを再生していく取り組みでもあります。

森林が回復することで、防災機能や漁業資源、生物多様性が少しずつ取り戻され、その変化が地域社会の持続性につながっていきます。

Cambodia+では、マングローブ植樹を「植えて終わり」の活動とは考えていません。

現地の環境条件や人々の生活と向き合いながら、森林が長く維持され、次の世代へ引き継がれていく仕組みづくりを重視しています。

CO₂削減という数値だけでなく、その背景にある土地の回復や人材の育成も、重要な成果の一部です。

環境問題への取り組みは、短期的な成果よりも、時間をかけて積み重ねていく姿勢が求められます

マングローブ林の再生を通じて、環境と地域がともに持続する形を模索し続けていきます。

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この記事を書いた人

Cambodia+(カンボジアプラス) は、「教育格差の解消」と「環境保護」を軸に、カンボジアの教育機関・行政と共に活動を行う国際協力NGOです。カンボジアの人々の暮らしや文化、日々の最新Newsを発信。伝統、食、教育、自然など、リアルな今をお届けします。

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